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調査の進むヤングケアラー

日本国内で、ヤングケアラーという言葉が広く一般に使われるようになったのは最近のことです。2014年にイギリスで「子どもと家族に関する法律」が成立し、日本でも2020年に埼玉県で全国初のケアラー支援条例が制定され、条例内でヤングケアラーへの支援について明記されました。こうしたなか、政府や地方自治体の調査も進み、徐々にその実態が明らかになってきています。

2021年の政府の調査では、公立中学2年生の5.7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4.1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答しています。1学級につき1~2人のヤングケアラーが存在している可能性があるということが分かりました。

ヤングケアラーが抱える困難

「お手伝いは、大切なことじゃないの?」。子どもがお手伝いをすることや、家族同士が支え合うことは、とても自然で、大切なことです。

しかし、政府の調査では、世話をしている家族が「いる」と回答した中高生のうち、 約1~2 割が、平日1日7時間以上を世話に費やしている、と回答したほか、世話を理由に、睡眠が十分にとれていなかったり、学校に遅刻することが多くなったりするなど、生活に深刻な影響が出ている子どもたちがいることが分かりました。

ヤングケアラーが抱える困難は、ケア内容そのものの負担だけでなく、ケアに追われる中で、授業、部活動への参加や友人との交流、勉強に充てる時間などが制限され、十分な教育・社会経験の機会を得ることができなかったり、周囲から孤立し人間関係に困難が生じたりと、ケアを担う子どもたち自身の人生に大きな影響を及ぼす可能性が存在することにあるのです。

安心して暮らせる社会に向けて

「子どもが子どもでいることができ、その家族も安心して暮らせる社会」。
そのための環境を整えること、それが日本財団のめざすものです。
少子高齢社会を迎えるにあたって、家族のケアが必要になる場面もますます増えていくことが予想されます。また、家庭内の事情であるために、外部のサポートに繋がり辛いことも、ヤングケアラーを取り巻く課題のひとつです。
子どもたちが、家庭内のケアの負担を抱え込むことなく、家族と、自分自身のために必要なサポートにつながる。そのためには、この文章を読むひとりひとりが、ヤングケアラーを取り巻く背景について適切な知識と理解を深めていくことも、とても大切です。

ヤングケアラーに関する主な動き
2014

イギリスで「子どもと家族に関する法律」が成立。ヤングケアラーを法的に位置付け、地方自治体に対して、適切な支援につなげることを義務づけた。

2015

一般社団法人日本ケアラー連盟・ヤングケアラープロジェクト(ヤングケアラー研究会)が、新潟県南魚沼市教育委員会の協力を得て、市内の公立小学校・中学校・総合支援学校の全教職員を対象に、日本初の体系的なヤングケアラー調査を実施。

2020

埼玉県が全国初のケアラー支援条例を制定。18歳未満の「ヤングケアラー」に対する教育機会が確保されるべき旨などが明記される。以降も、複数の自治体で類似の条例が制定される。

2021

厚生労働省及び文部科学省が連携し立ち上げた「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」が、ヤングケアラーの実態に関する実態調査の結果を発表。国内においてヤングケアラー支援の動きが広まる。